日本ヒューレット・パッカード株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:小田 晋吾、以下日本HP)、アドバンスソフト株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小池 秀耀、以下アドバンスソフト)、住商情報システム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:阿部 康行、以下SCS)は、各社の技術力と専門知識を結集し、ナノ材料シミュレーション(*1)分野で協業することを発表します。3社の協業は製造、環境、エネルギー、医療など、ナノテクが技術革新をもたらす全産業に向け、計算科学ソリューションを開発、拡販することを目的としています。
3社は協業の第一弾として、高性能、低コスト、低消費電力のナノ材料シミュレーション・ソリューションを本日7月3日から提供開始します。当ソリューションは、HP製Linuxクラスタとアドバンスソフト製ナノ材料シミュレーションソフトウエアより成り、SCSが販売および一次サポートを受け持ちます。
(*1)ナノ材料シミュレーション:コンピュータを使い、ナノスケールで起こる現象を発見・解明し、電子・機能材料を原子レベルから設計・評価すること。
<協業の背景>
原子・分子を制御して新材料を作り出すナノテクノロジーは、様々な産業分野に技術革新を起こす可能性を秘めた基盤技術です。近年、ナノテク研究・開発を効率よく進めるうえで、信頼性の高いシミュレーションが必要不可欠になっています。経験パラメータを要しない高精度なシミュレーションには、これまで、高性能サーバを多数用意する必要がありました。サーバ購入コストに加え、最近では高い電力消費量をどう抑えるのかも緊急の課題となっており、3社はこうした課題を解決するため、新たなソリューションを開発しました。
<3社で提供開始する新ソリューションの特長>
当ソリューションは、ナノスケールの電子・機能材料設計を統合的に支援するアドバンスソフトのアプリケーション「Advance/PHASE」をベースに改良を重ね、HPの「HP XCクラスタ(*2)」およびSCSより提供されるサポートと併せたもので、以下の3点の特長を備えています。
(*2)HP XCクラスタ:ブレード型、もしくはラックマウント型のLinuxサーバを、限りなくスケーラブルに結合したHPC向けクラスタ。効率的で運用しやすい管理ツール群「XCシステムソフトウエア」と、コストパフォーマンスに優れる業界標準ハードウエアがパッケージ化され、高性能と高生産性を低コストに両立します。
■新ソリューションの特長:
① 高速 安定性と性能を誇るHP-MPI(*3)の採用、計算アルゴリズムの工夫、およびHPの業界標準サーバにあわせた最適化により、従来より最大約1.8倍の高速化(*4)を実現しています。
(*3)HP-MPI:HPが自社開発・販売・サポートする通信ライブラリ。MPIは分散メモリ環境における並列プロブラミングの標準的なツール。
(*4)約1.8倍の高速化:HPの業界標準2-way 4coreサーバを用いた比較。
② 低コスト、低消費電力 高速化に伴い、多くのシミュレーションで必要サーバ数が半減(*5)します。これにより初期投資を抑制、電力、空調、スペースコストを圧縮、運用管理を効率化、システム可用性を向上させ、多角的にTCO削減を実現します。HP XCクラスタの構成サーバとして省スペース、省電力性に優れたHP BladeSystem c-Class(*6)を選択すれば、電力、空調、スペースコストをより一層、圧縮可能です。
(*5)必要サーバ数が半減:HPの業界標準2-way 4coreサーバを複数台用いた比較。
(*6)省電力性に優れたHP BladeSystem c-Class:独自のサーマルロジック(冷却手法)を実装し、1Uラックマウント型サーバと較べて電力コストを年間33%、空調コストを70%節約できます。出典はhttp://h71028.www7.hp.com/ERC/downloads/4AA0-5820ENW.pdf
③ 高生産性 当ソリューションは機器およびソフトウエアの導入支援、トレーニングを含みます。またHP XCクラスタに搭載された運用しやすい管理ツール群「XCシステムソフトウエア」により、効率的な運用管理が可能です。これにより迅速な導入を実現し、お客様の即戦力として貢献します。さらに3社協業の枠組みを通じ、アプリケーションからハードウエア、運用管理ツール群にいたる広範囲でゆき届いたアフターサポートをお届けします。
■ソリューションの構成(推奨構成)
・ハードウエア HP XCクラスタ (3年間のハードウエア保守を含む)
・OS Red Hat Enterprise Linux およびXCシステムソフトウエア
(HP-MPIを含む)
・アプリケーション Advance/PHASE HP版 (Advance/PHASEバージョン2.0準拠)
・サービスサポート 機器およびソフトウエアの導入支援、トレーニング、アフターサポート
■適した業務
・大学・研究所 ナノスケールの現象解明、新奇物質・機能探索
・半導体デバイス分野 材料や製造プロセスのナノスケールからの課題解決
・ライフサイエンス・医療分野 バイオセンサーや医療新材料の開発、ドラッグデリバリへの応用
・環境・エネルギー分野 燃料電池、太陽電池における電子などの輸送、電極界面シミュレーション
・物質・材料分野 触媒、表面、光学材料など機能材料の設計、ナノ素材の応用分野開拓
・計測・評価・加工分野 走査トンネル型電子顕微鏡などナノ計測過程のシミュレーション
■価格 推奨構成で1,400万円程度より。
(Advance/PHASE HP版ソフトウェア使用料金は100万円/1年間)
構成によって異なりますので別途お問い合わせ願います。
<協業における3社の役割>
当ソリューションの提供に関して、3社は以下の役割を担います。
日本HP
・ アドバンスソフトとともに、Advance/PHASE HP版の開発・保守
・ HP XCクラスタの提供および保守サポート
アドバンスソフト
・ Advance/PHASE HP版の開発・販売(*7)・保守
・ Advance/PHASE HP版のインストール、トレーニング、ベース版と同様のサポート
(*7)販売:すでにHP製品をお使いのお客様を対象に、Advance/PHASE HP版を単体で販売すること。
SCS
・ 当ソリューションの見積もり、サイジング構成の提案・検証などの販売活動
・ 当ソリューションの導入支援などSI事業
・ 一次サポート窓口を開設し、当ソリューションの保守を提供
文中の社名、商品名は、各社の商標または登録商標です。
日本HPについて
HPはコンシューマから大企業まで、すべてのお客様がテクノロジーを身近に活用し、より便利で豊かな環境を享受できるよう努めています。HPはプリンティング、PC、ソフトウエア、サービスからITインフラにいたる幅広いポートフォリオを持つ、世界最大のIT企業のひとつです。2007年度第2四半期末(2007年4月30日)までの年間売上高は971億ドルです。HP (NYSE, Nasdaq: HPQ) についての情報はhttp://www.hp.com/ をご覧ください。日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)はHPの日本法人です。http://www.hp.com/jp/
アドバンスソフトについて
代表取締役社長:小池秀耀
設立:2002年4月
社員数:79名(2007年4月1日現在)
本社:東京都港区赤坂一丁目9番20号第16興和ビル南館
アドバンスソフトは、シミュレーション等の計算科学技術用ソフトウエアを中心としたデジタルエンジニアリング・システム開発の専門会社です。数多くの国家プロジェクトに参加し、世界に通用する国産ソフトウエアの開発とその実用化に邁進しています。また、特定のハードウエアに偏ることなく、お客様のコンピュータ環境にあわせた受託開発、受託解析、パッケージソフト販売等、最先端の計算科学技術による総合サービスを提供しています。
※アドバンスソフトのホームページは下記URLよりご覧下さい。
https://www.advancesoft.jp
SCSについて
住商情報システムは、1969年の設立以来、各産業界における長年の豊富な実績と、豊富な業務ノウハウの蓄積を活用し、日本国内外のお客様のあらゆるニーズに柔軟に対応し、総合的なソリューションを提供しております。業種ごとの専門知識をベースに顧客の個別ニーズに対応したシステム・アプリケーションを提供する業務系ソリューション、自社開発パッケージソフトを含んだERPパッケージにて基幹システムを構築するERPソリューション、ITインフラを構築するプラットフォームソリューションの3つの戦略的事業領域に強みを持つトップクラスのITサービス企業を目指し、お客様の個別ニーズとビジネス環境に最も適合した真に有用なIT製品・サービスをご提供いたします。
<お客様からのお問い合わせ先>
HP XCクラスタ、HP BladeSystem c-Class、HP-MPIについて
日本ヒューレット・パッカード株式会社
カスタマー・インフォメーションセンター
TEL: 03-6416-6660
Advance/PHASE HP版に関するお問合せ
アドバンスソフト株式会社
TEL: 03-5570-1681
当ソリューションの販売に関して
住商情報システム株式会社
IT基盤ソリューション事業部 HPCソリューション部
TEL: 03-5859-3011
添付資料
Advance/PHASE(アドバンス/フェイズ)ついて
Advance/PHASEは、パラメータを使わない第一原理計算ソフトウエアです。密度汎関数法に基づき、表面・界面の電子状態解析、誘電物性解析、反応経路・障壁エネルギー計算、表面拡散、触媒反応等の動的過程解析などが行え、ナノスケールの物理現象解析を統合的に支援します。長年に渡り、世界中の研究者によって精度が改良され、広く共有されている、平面波展開と第一原理擬ポテンシャルを用いた、信頼できる標準アプローチを採用しています。
当製品のベースに採用したバージョン2.0では、DFT+Uやフォノン分散、仕事関数他の機能追加とGUIの刷新、64bitマシン対応(Linux版のみ)等々の改良により、より使い易く高機能なシステムとなっています。またライセンス価格についても、欧米製の同等ソフトウエアに比較して3分の1から5分の1程度となっており、導入コストの大幅な縮小が可能です。
Advance/PHASEは、東京大学生産技術研究所計算科学技術連携研究センターが実施した文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウエアの開発」プロジェクト、および、文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」プロジェクトの成果(ソフトウエア)をアドバンスソフトが商用ライセンスの許諾を受けて、独自に改良、商用化したものです。アドバンスソフトは両プロジェクトに参加しソフトウエアの開発を担当しました。
※Advance/PHASEの詳細については下記のURLを参照下さい。
https://www.advancesoft.jp/product/advance_phase/
HP XCクラスタについて
「HP XCクラスタ」は、ブレード型、もしくはラックマウント型のLinuxサーバをスケーラブルに結合した、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けのLinuxクラスタシステムで、極限までスケーラブルな性能を追求した設計が施されています。コストパフォーマンスに優れた業界標準ハードウエアと、クラスタ管理・運用のためのソフトウエア(XCソフトウエア)がパッケージ化され、導入後直ちに運用可能です。XCソフトウエアの使いやすいインタフェースを通してジョブ実行やCPU割り当てを制御でき、またソフトウエアのインストールも単純化されています。大規模クラスタにも対応可能で、大規模クラスタの活用効率と生産性が高められる設計になっています。
XC クラスタは、HPをはじめ、オープンソースやパートナー企業の、業界をリードする最新技術を活用しており、HPによる保守が提供されます。
※HP XCクラスタの詳細については下記のURLを参照下さい。
http://h50146.www5.hp.com/solutions/hpc/hardware/xccluster/overview.html
以上