アドバンスシミュレーション Vol.9, 大家 史, 松原 聖, 従来の構造解析は、あらかじめ設計上でクリティカルになる部位を設計者が想定し、その部位に対する解析を行うことが一般的でした。近年の計算機能力の飛躍的向上を背景に、産業界では製品に対する品質向上への要求から、製品全体に対する大規模構造解析シミュレーションへのニーズが高まっています。構造解析における大規模計算の行列解法は、ほとんどの場合に反復法が利用されています。しかし、接触解析やシェル要素等を利用した解析においては、反復法を適用した場合には収束性に問題があり、直接法の適用が必要なケースがあります。このように、特定の問題領域において、直接法を利用した大規模解析への要請は高いです。以上の背景から、百万自由度を超える構造解析の行列解法に直接法を適用することを目的として、構造解析ソフトウェアAdvance/FrontSTRの直接法を整備しました。ここでは、直接法の並列機能を整備し、その性能(処理速度と使用記憶容量)を計測しました。なお、本稿で報告する直接法を適用したモデルの最大規模は約240万自由度であり、16CPUを利用して数分の処理時間でした。(PDF:657KB)

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本文中の図3.1 処理速度(簡易モデル)
本文中の図4.6 実モデルの処理時間