大気拡散影響予測システム Advance/Emerg
Advance/Emerg とは
大気拡散影響予測システムAdvance/Emergは、大気拡散物質の挙動予測と影響評価のためのソフトウェア・システムです。本システムでは、迅速に気象を予測し、大気中に放出される化学物質等の挙動を地球規模で解析し、その影響を予測する機能を有します。基本パッケージのみで、初期設定入力支援GUIやプリポスト・コマンドを備えており、計算条件の設定から計算結果の可視化まで、一連の解析を容易に行うことができます。
主な特徴
[1] 非静力学メソスケール気象モデル
風向・風速を予測する機能を有し、気温・気圧・相対湿度・降雨量などの気象要素を予測します。
[2] ラグランジュ型粒子拡散モデル
大気放出物質の拡散と地表面沈着を模擬し、放出物質の大気中濃度および地表面沈着量を予測します。
[3] 初期設定入力支援GUI
GUIによる操作で解析条件を設定し、計算に必要な設定ファイルを作成することが可能です。
[4] プリポスト・コマンド
各種プリポスト・コマンドを用いることで、各モデルの計算実行や前処理・後処理が容易に行えます。
[5] 解析結果の可視化
NetCDF (Network Common Data Form) 対応ソフトウェアによる解析結果の可視化(グラフ・静止画・動画)が可能です。
[6] 機能カスタマイズ
黄砂、PM2.5、海塩粒子などの様々な拡散シミュレーションに対応するための機能カスタマイズの提供が可能です。
- ※1 WRF(Weather Research and Forecasting)は、米国国立大気研究センター(NCAR)、米国国立環境予報センター(NCEP)が中心となり、
開発を進めている非静力学の気象モデル用ソフトウェア群です。モデル及びその関連プログラムは、すべて無償で公開されています。 - ※2 FLEXWRF(FLEXPART for WRF)は、WRFに対応したラグランジュ粒子の拡散プログラムFLEXPART (FLEXible PARTicle dispersion model) です。GNU 一般公衆利用許諾書 第三版 (GPLv3) の下に再配布および利用することができ、本システムでは一部改変して利用しております。
- ※3 IDV (Integrated Data Viewer) は、米国Unidataプロジェクトによって開発された気象・地球科学データの可視化ソフトウェアです。
解析フロー(基本パッケージ)
結果表示
機能詳細(基本パッケージ)
気象モデル | |
解析機能 | 完全圧縮性非静力学オイラー方程式モデル、多段ネスティング、並列処理 |
解析領域(任意) | ① 全球領域 :水平解像度50km程度(参考値) ② 日本周辺領域:水平解像度5km程度(参考値) ③ 局地的な領域:水平解像度2km程度(参考値) |
前処理機能 | 解析領域の定義、地形データの作成、気象データの抽出、 地形データと気象データをもとにした初期・境界条件の作成 |
入力データ | ① 水平解像度1km程度の全球地形データ(本システムに付属) ② 米国国立環境予測センター (NCEP) が提供する予報データ・再解析データ(外部から要取得) ③ 気象庁が提供する数値予報GPVデータ(外部から要取得) |
入力データ形式 | GRIB (GRidded Information in Binary) 形式、GRIB2形式 |
出力データ | 風速、気圧、気温、降水量、相対湿度、ジオポテンシャル高度など |
出力データ形式 | NetCDF (Network Common Data Form) 形式 |
拡散モデル | |
対象物質 | 化学物質(窒化酸化物、硫黄酸化物など)、粒子状物質(PM2.5、火山灰、スギ花粉など)、 放射性物質(放射性希ガス、放射性ヨウ素、放射性粒子状物質など)、トレーサー粒子、など |
拡散 | オフラインのラグランジュ型粒子拡散モデル |
沈着 | 乾性沈着、湿性沈着 |
入力 | 放出物質の全放出量とその組成、放出高さ、放出位置、および放出継続時間 |
出力 | 放出物質の大気中濃度分布、地表面への沈着量分布 |
初期設定入力支援GUI | |
機能 | GUIを用いた各モデルの初期設定 |
入力 | 放出物質の放出条件、解析領域、解析時間、出力時間間隔などの解析条件 |
出力 | 各モデルの実行に必要な設定ファイル |
解析結果の可視化 | |
対応ソフトウェア | NetCDF (Network Common Data Form) 形式に対応したGUIソフトウェア ※ IDV (Integrated Data Viewer)で動作確認をしています。 |
動作環境 | |
気象モデル、拡散モデル | Red Hat Enterprise Linux 64bit†4、 †5 (派生ディストリビューション†6を含む) |
初期設定、可視化 | Windows 64bit†7 ※ Windows 10 Professional 64bitで動作確認をしています。 その他のバージョンについてはお問い合わせ下さい。 |
†4 Linuxは、米国及びその他の国におけるLinus Torvaldsの登録商標です。
†5 Red Hat、Red Hat Enterprise Linuxは、米国およびその他の国において登録されたRed Hat, Inc.の商標です。
†6 例えば、CentOS、 Scientific Linux を指します。
†7 Microsoft、WindowsおよびWindows 10は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
応用パッケージ
本ソフトウェアでは、気象モデル・拡散モデル・初期設定入力支援GUIからなる基本パッケージに各種オプション機能を追加した応用パッケージも開発・提供しています(例:被ばく線量評価モデルとの連携による放射能影響予測)。ご希望の機能がございましたら、ご相談ください。
本ソフトウェアについて
本ソフトウェアの実行には、FORTRANとC/C++コンパイラを利用できる計算機環境が必要です。また、本ソフトウェアでは複数のオープンソースソフトウェアを使用しており、必要なソフトウェアをお客様の計算機環境にダウンロードおよびインストールしていただく必要があります。なお、当社ではお客様の計算機に実行環境の構築を行うサービスも行っています。