解析事例 1 │ バルブ遮断速度検討解析

解析目的
バルブ遮断時の水撃値を解析により予測し、バルブ遮断速度を検討します。

解析モデル・解析条件

図1 解析モデルと解析条件

解析結果

図2 0.1s遮断の解析結果
図3 0.3s遮断の解析結果

分岐管バルブ遮断解析のまとめ

バルブ遮断時の水撃値を解析しました。
0.1sで遮断した場合、液柱分離・再結合が起き、圧力は1MPaG近くまで上昇しました。
0.3sで遮断した場合は、液柱分離は起きず、最大圧力は0.2MPaG程度となりました。
以上のように、Advance/FrontNet/Ωの解析により、液柱分離・再結合を起こさないためのバルブ遮断速度を検討することができます。

解析事例 2 │ ポンプ機能喪失・回復時の液柱分離・再結合解析

解析目的
ポンプが停電により機能を喪失し、電源復旧により機能を回復した場合の圧力を解析します。
参考文献との比較を行い、Advance/FrontNet/Ωの解析精度を確かめます。

解析モデル・解析条件

図4 解析モデルと解析条件

解析結果

図5 解析結果と測定値の比較(上流から580mの位置)

参考またはご協力:E.B.Wylie and V.L.Streeter : “Fluid transients in Systems”, Prentice-Hall Inc. (1993).

ポンプ機能喪失・回復時の液柱分離・再結合解析まとめ

ポンプの機能喪失・回復によるポンプ出口圧力の経時変化を境界条件として与え、水撃過渡解析を行い、結果を参考文献と比較しました。Advance/FrontNet/Ωによる計算値と参考文献中の実測値はほぼ一致し、液柱分離モデルの妥当性や解析精度を確認できました。

解析事例 3 │ ポンプトリップ解析

解析目的
ポンプトリップの計算を行い、参考文献の実測値と比較します。解析条件は不明な部分が多いが推定して計算します。

解析モデル・解析条件

図6 解析モデルと解析条件

解析結果

図7 解析結果

参考またはご協力: 中田信夫、三輪俊夫、田中和男、藤原実,”空気弁による水撃防止”,荏原時報,第114号,p39-43(1980)

ポンプトリップ解析まとめ

ポンプ慣性(GD2)を考慮してポンプトリップ時の計算を実施し、参考文献と同様の圧力履歴を再現することができました。管内音速、管長、ポンプ、逆止弁が適切にモデル化されていることを確認することができました。

解析事例 4 │ ポンプトリップ解析(低い位置の空気弁考慮)

解析目的
低い位置に空気弁を設置した場合のポンプトリップの解析を行い、参考文献と比較します。

解析モデル・解析条件

図8 解析モデルと解析条件

解析結果

図9 解析結果(圧力時系列)
図10 解析結果(管内空気体積)

参考またはご協力 :中田信夫、三輪俊夫、田中和男、藤原実,”空気弁による水撃防止”,荏原時報,第114号,p39-43(1980)

ポンプトリップ解析(低い位置の空気弁考慮)まとめ

空気弁を考慮したポンプトリップ解析を行いました。空気の吸い込み/吐き出しや、圧力上昇を模擬することができ、解析と実測値の傾向は一致しています。負圧を抑える効果をよく再現できているため、実用的には問題ないと思われるが、空気吐き出し時の圧力上昇は実測値が解析値の約2倍程度となっており、推定した諸元の見直しや解析精度は今後の課題です。

解析事例 5 │ ポンプトリップ解析(高い位置の空気弁考慮)

解析目的
空気弁は負圧が発生しやすい高い位置に設置されることが多いです。高い位置に空気弁が設置された場合のGD2が異なる2つのポンプトリップの計算事例を比較します。

解析モデル・解析条件

図11 解析モデルと解析条件

解析結果

図12 解析結果(圧力時系列)/GD2=1kg・m2の場合
図13 解析結果(圧力時系列)/GD2=30kg・m2の場合
図14 解析結果(空気体積時系列)/GD2=1kg・m2の場合
図15 解析結果(空気体積時系列)/GD2=30kg・m2の場合
図16 解析結果(動水勾配線)/GD2=1kg・m2の場合
図17 解析結果(動水勾配線)/GD2=30kg・m2の場合

ポンプトリップ解析(高い位置の空気弁考慮)まとめ

2種類のGD2に対してポンプトリップ解析を行い、動水勾配線を比較した。GD2=1kg・m2の場合は、負圧が発生し水撃が出ているが、GD2=30kg・m2の場合は負圧が抑えられ水撃が出ていないことが分かります。Advance/FrontNet/Ωによるポンプトリップ解析の基本性能を確認することができました。

なお、Advance/FrontNet/Ωは基本的に液体単相流れの解析を目的としており、一時的な空気吸い込みには対応していますが、気液界面の追随の機能はありません。そのため、本例のような場合、一般には境界の高さに応じて空気吸い込み量および水の界面位置が決まるのに対して、計算では1メッシュの体積を超える空気量を空気弁が吸い込んだ場合に、界面追随を行っていないことから計算精度が保証されないため計算を終了することとしています。

解析事例 6 │ 圧力制御弁PID値検討解析

解析目的
流量が急増した場合にいくつかのPID値に対する圧力制御弁の応答を調べます。制御ブロック図は1次遅れとPIDを考慮します。

解析モデル・解析条件

図18 解析モデルと解析条件
図19 制御ブロック図

解析結果

図20 各PIに対する解析結果(圧力時系列)

圧力制御弁PID値検討解析まとめ

流体解析と制御系の連成解析を行い、PとIを振ってバルブの応答による圧力変化を調べました。比例ゲインが小さく、積分時間が小さいと圧力応答が遅く、比例ゲインが大きく、積分時間が大きいと圧力応答が速かったです。また、比例ゲインが小さく、積分時間が大きいと圧力は振動的になり、比例ゲインが大きく、積分時間が小さいと圧力のアンダーシュート/オーバーシュートが大きい結果となりました。以上の結果はPIの基本性能を表しています。

解析事例 7 │ LNG実機プラント緊急遮断弁閉鎖時の液撃解析

解析目的
LNGプラントにおいて、緊急遮断弁閉鎖時の水撃値をシミュレーションを用いて予測し、安全評価を行います。これを利用して運転条件を実績から大きく変更した場合の安全評価に役立てます。情報が不明な箇所がいくつか存在しますが、それらを推定して解析を行います。

解析モデル・解析条件

図21 解析モデルと解析条件

解析結果

図22実機試験結果(ガス会社様ご提供)と解析結果の比較

参考またはご協力
ガス会社様担当者様より。
「以前よりも送液量が増えたにも関わらず、より高い安全性とより低い運転コストを両立する水撃対策を実現することができたことが大きなメリットです。」

LNG実機プラント緊急遮断弁閉鎖時の液撃解析まとめ

解析と実機試験を比較すると、緊急遮断弁閉鎖時のLNG輸送システムの圧力・流量の振る舞いをよく捉えています。ピーク後の振る舞いは実測値のほうが変化が緩やかですが、実測は緊急遮断弁全閉指令前の状態が揺らいでおり、解析では理想的な定常状態となっていることや、解析では情報が不明な部分を推定したことも影響していると考えられます。

本解析では設計的な視点からピーク値を重要視しました。圧力制御弁下流圧ピーク値は10%程度安全側に評価しており、運転条件変更の検討には十分利用できると判断できます。

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