管路系液体過渡解析ソフトウェア Advance/FrontNet/Ω 解析事例6
解析事例6 ポンプトリップ解析(動画あり)
ポンプトリップ解析の計算設定から結果までを動画でご覧いただけます。
解析モデル
貯水槽からポンプで水をくみ上げ、長い管路を流れたのち、大気開放する管路系です。配管4 は勾配があります。
解析条件
表1 にポンプに関する解析条件を示します。
時刻0sから計算を始め、十分定常状態になったのち、時刻200sにポンプがトリップ(電源喪失)する場合の計算を行います。
表1 解析条件
項目 | 数値 |
ポンプ定格揚程[m] | 16.4 |
ポンプ定格流量[ton/h] | 1116 |
ポンプ定格効率[-] | 0.8 |
ポンプ定格回転数[rpm] | 500 |
慣性[kg・m2] | 3 |
解析結果
図2 にポンプの時間変化を示します。時刻200sから回転数が減少していることが分かります。ポンプが慣性(GD2)をもっているため、回転数は瞬時にゼロにならず、時間をかけて減少します。
図3 に配管2 と配管5 の圧力の時系列変化を示します。
時刻200sまでは圧力は静定値をとり、定常状態にあることが分かります。
時刻200sにポンプトリップが起こると揚程や流量が減少します。慣性をもって流れている水の一部の圧力が低下して空洞(液柱)が生じ、圧力が飽和蒸気圧(約-100000PaG)に至ります。配管に勾配があるため逆流が起こり、液柱がつぶされると大きな圧力上昇が起こります。図3 では配管5 が飽和蒸気圧に至り、その後液柱分離により圧力上昇が起こっていることが分かります。圧力波の伝播・反射により、配管2 でも圧力上昇が観測されます。計算ではこれらが再現できていることが分かります。
参考またはご協力 中田 信夫, 三輪 俊夫, 田中 和男, 藤原 実, "空気弁による水撃防止", エハラ時報, 第114号, p39, (1980)
ポンプトリップ解析のまとめ
ポンプ慣性(GD2)を考慮してポンプトリップ時の計算を実施した。
液柱分離や圧力上昇を模擬することができた。