このたび、我が国における最先端研究をテーマとして幅の広い分野を対象とする「アドバンス・シミュレーション・セミナー 2022(第10回)」を開催いたしました。全 10 回開催し、計算機シミュレーションに関連するテーマに関して、毎回各分野の先生方からご講演をいただきました。
第 10 回開催では、早稲田大学 総合研究機構 グローバル科学知融合研究所
上級研究員・研究院教授 高橋 桂子 様 に「環境マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーションの今とこれから」のご講演をいただきました。
全世界の企業や政府では環境問題解決のための様々な取り組みが進められています。しかし、地球全体での温暖化シミュレーションを、自ら実施している個別の取り組みに結び付けることはなかなか難しいことです。
高橋先生は、上記課題解決をひとつの目的として、都市・地域を対象とした解像度数mという超高解像度での環境シミュレーションを研究されています。高解像度の解析により、都市や地域での環境に対する取り組みの効果を最大化にするための連携・協力策を探ることが可能です。同時に、政府の温暖化対策や自治体の環境施策の進め方も見えてきます。
具体的な一例としては、木を植えることの地域の環境へのインパクトが高解像度シミュレーションでわかります。本講演は地球全体の温暖化シミュレーションとは異なる視点での研究のご紹介であり、市町村・コミュニティのみならず企業で環境問題に取り組んでいらっしゃる方々にも興味深い研究内容です。
本セミナーをきっかけに、企業の研究開発を担う技術者の方が新たな視点を持つこと、最先端研究を産業に応用する起点となること、長期的には計算科学シミュレーション分野の裾野が広がること等を期待しております。
ご興味をお持ちの方のお問い合わせを、心よりお待ち申し上げております。 (PDF:18,969kB)