アドバンスシミュレーション Vol.10, 吉岡 逸夫, 浜野 明千宏, 三橋 利玄, 建物内の火災安全・防災のためのシミュレータ”EVE SAYFA ;Enhanced Virtual Environment Simulator for Aimed and Yielded Fatal Accident”は、2002年から2007年にかけて実施された「革新的シミュレーションソフトウェア開発プロジェクト」で開発されたプログラムです。このEVE SAYFAに対して、アドバンスソフト株式会社が特に火災解析機能の強化を図ったものがAdvance/EVE SAYFA 2.0です[1]。EVE SAYFA 2.0は、急激な火災現象の解析にも適用可能とするために、建物内の火災延焼解析と管路系ガス過渡解析ソフトウェアAdvance/FrontNet/Γによる換気系モデルの連成計算を行うことができます[2]。この計算機能は、従来の火災、煙層高さ、二酸化炭素濃度などの解析に加え、急激な火災時に起こりえる換気系内の逆流などによる流量大変動時の圧縮性効果を適切に取り扱うことができる点が最大の特長です。また、EVE SAYFA 2.0は二層ゾーンモデルの他、着目している部屋の火災詳細解析のために3次元火災・熱流動解析プログラムと連成することができます。本稿では、EVE SAYFA 2.0について、原子力関連施設における火災シミュレーションへの適応性に焦点をあてて解説します。
[1] アドバンスソフト株式会社:“アドバンスシミュレーション(Advance/EVE SAYFA特集)”, Vol.6, (2010)
[2] アドバンスソフト株式会社:“アドバンスシミュレーション(管路系流体解析シミュレーション特集)”, Vol.7,(2011) (PDF:914KB)