アドバンスシミュレーション Vol.19, 松原 聖, 当社ではこれまで音響解析ソフトウェアAdvance/FrontNoise に関する連成機能として、構造解析ソフトウェアAdvance/FrontSTRとの一方向の構造音響連成解析機能を提供してきました。ここでは、構造解析で求めることができた振動(変位)を音源とした音響解析機能を提供してきました。この機能は構造物の振動を音源として音波の空気中の伝播をシミュレーションする機能です。ここでは、音波による空気の振動は構造物の振動に影響しないという仮定、すなわち、構造解析から音響解析への一方向の影響(一方向連成、弱連成)を仮定しています。この機能は実用上有用であり、かなりのケースで利用されてきました。このような状況の中で、いくつかの解析では空気の振動が構造の振動に影響を及ぼすケースもあり、構造音響双方向の連成機能のニーズが出てきました。例えば、構造物を透過する音の解析です。このニー ズに応えるため、われわれは従来の音響解析ソフトウェアAdvance/FrontNoise のひとつの機能として、構造物に減衰を含む周波数領域における構造音響の双方向連成機能(強連成)を開発しました。ここでは、構造物の振動に関する情報を固有値・固有ベクトルという形のデータで音響解析に入力し透過音を解析する構造音響強連成機能を実装しました。すなわち、構造物の振動を固有値・固有ベクトルを通して直接的に音響解析の基礎方程式に持ち込み、それをまとめて解くという双方向連成(強連成)の定式化を利用 しました。また、構造振動に関する減衰については、レーリー減衰の形で取り入れました。本稿では、本機能の定式化およびその計算事例について述べます。(PDF:1,440kB)

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