アドバンスシミュレーション Vol.20, 大家 史, 松原 聖, 設計の現場では時間的・計算リソース的理由から計算機によりシミュレーションを行う場合、何らかのモデル化を行うことが多いです。例えば、骨組構造解析においては梁要素でのモデル化を行い、樹脂解析においては、その物性をマクロモデルに置き換えます。一方で設計精度を向上させるために、より詳細なシミュレーションを行える大規模解析に対するニーズが高まっています。大規模解析はモデル化および結果検討における省力化という点でも着目されています。この例としては、隅肉溶接個所がシンプルなモデル化では応力集中個所になってしまい別途検討が必要になりますが、溶接個所もモデル化することでその手間を省くことができます。さらに、シミュレーションの活用の幅がひろがるにつれて、複数の現象が関連する問題への要求が高まっています。流れが構造物を変形させる問題(流体構造連成)、構造物の振動により音が発生する問題(構造音響連成)などがその例です。
このようなニーズの高まり、近年の計算機能力の飛躍的向上を背景に、文部科学省の次世代IT基盤構築のための研究開発「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」プロジェクトで大規模解析を主眼にFrontISTRが開発されました。Advance/FrontSTRはさらにこれを発展させ、ユーザーのニーズを満たすため機能追加を行っています。また、流体解析ソフトウェアAdvance/FrontFlow/ red, Advance/FrontFlow/FOCUS, 音響解析ソフトウェアAdvance/FrontNoiseとの連成解析ツールを提供しています。本稿では構造解析ソフトウェアAdvance/FrontSTRについて紹介します。(PDF:625kB)