国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所様では、津波による流体運動およびそれらによって生じる漂流物の挙動を計算するための数値計算モデル「津波シミュレータ(T-STOC)」を公開されています。このたび、当社では、津波シミュレータT-STOCを利用した受託解析サービスを開始しました。

図1 津波シミュレータT-STOC
図2 津波シミュレータT-STOC

* 図は http://www.pari.go.jp/unit/trc/research/stoc01.html より引用

* T-STOCは港湾空港技術研究所様の著作物です。本資料は、下記のページに記載された使用許諾契約に基づいて、
アドバンスソフト株式会社がお客さまにご提供する独自のサービスについて説明するものです。
http://www.pari.go.jp/unit/trc/events/t-stoc.html

受託解析サービスの内容

当社では、津波シミュレータT-STOCを利用した受託解析サービスとして、下記のサービスを行っています。

サービス 内容
データ作成、解析実施、結果処理 お客さまの解析対象地域のデータを入手しT-STOCのためのデータ作成します。そのデータを当社計算サーバーで処理します。得られた結果の可視化処理を行います。
ご要望によるプログラム改良 必要によって、お客さまのダウンロードされたT-STOCを改良し、お客さまの要望される解析を実施できるようにします。
なお、T-STOCの改良に関しては、お客さまはT-STOCの使用許諾に従い港湾空港技術研究所様に報告する義務があります。
利用支援サービス 継続的にお客さまが利用されるT-STOCに対して、利用方法やデータ作成の支援を行います。利用支援については、メールベースでのQ&Aサービスをご提供します。

受託解析サービスの流れ

図3 受託解析サービスの流れ

津波シミュレータT-STOCとは

(内容は[2]から引用しています。)

津波シミュレータT-STOCは、太平洋など広い海域を伝播しかつ局所的に地形や構造物の影響を受けて変化する津波を高い精度で計算することができます。また、津波による漂流物の挙動を計算することにより、船舶・コンテナ等の漂流の危険性や漂流したときの挙動を推定することができます。T-STOCは次の3つのモジュールから構成されます。

サービス 内容
STOC-ML ※1 沖合の津波にはよい近似である静水圧近似を使用しつつ、流動場の鉛直方向の変化を考慮した多層に分割可能な準3次元モデルです。
STOC-IC ※2 津波による流体運動を計算するための、流体運動の最も基本となる方程式に基づいた3次元モデルです。臨海部に存在する構造物等による津波の変化を計算する必要があるときにSTOC-ICを適用します。
STOC-DM ※3 津波によって漂流する可能性のある船舶・コンテナなどの挙動を計算するモデルです。STOC-MLおよびSTOC-ICによって計算される津波の水位や流速により漂流する物体を解析します。

これらの連成により、沖合いで発生した津波が大洋を伝播し、港湾などの臨海部を襲う挙動および津波によって生じる漂流物の挙動を高い精度で計算することが可能です。

津波シミュレータT-STOCに関する情報

[1] 技術情報
富田孝史・本多和彦・千田優 "高潮津波シミュレータ(STOC)による津波被害解析手法", 港湾空港技術研究所報告 第55巻第2号

[2] 公開情報
http://www.pari.go.jp/unit/trc/events/t-stoc.html