建物内の火災安全・防災のためのシミュレータ Advance/EVE SAYFA

建物内の火災安全・防災のためのシミュレータ Advance/EVE SAYFA

Advance/EVE SAYFAとは?

Advance/EVE SAYFAは、建物の屋内での火災やガス漏洩、テロなどの災害の防止・軽減に役立つシミュレーションソフトウェアです。人間の活動空間を含む複雑な空気流通経路における火災の煙や危険物質（サリン・硫化水素等）の拡散を予測できます。その結果は、安全な避難経路の計画や、建物の設計段階での災害対策に生かすことができます。

また、従来の二層ゾーンモデルでは困難だった、換気系設備を伴う施設における急激火災時の逆流現象も解析可能になり、原子力関連施設へも適応できます。

例えば...

• 高層ビル火災での煙進展の予測
• 原子力施設の火災・煙進展予測
• 複雑な大空間（吹き抜け・階段など）での煙の広がりの予測
• マンション、ホテルで発生した硫化水素による汚染区域の予測
• 地下鉄での化学剤の拡散範囲の予測
• 大型客船・大型艦船の火災・煙進展予測

図1にAdvance/EVE SAYFAのプログラム構成（火災解析機能）を示します。

Advance/EVE SAYFA の特長 1

二層ゾーンモデルを実装

米国国立標準技術研究所（NIST）のCFAST等で実績のある、二層ゾーンモデルを実装しています。

「二層ゾーンモデル」とは、建物内での火災発生時に、煙流動を部屋の中の高温層である上層部と、低温層である下層部の二層に分けてモデル化する方法をいいます。火災時に発生する煙は、視界をさえぎったり、そこに含まれる有毒ガスによって被害を受けたり、避難活動上の危険要因となりますが、二層ゾーンモデルは、この煙流動を精度よく予測することができるモデルです。

解析事例1: 連続した部屋の煙進展解析（二層ゾーンモデルの例）

マクロモデル解析機能（二層ゾーンモデル）を用いて、5つの部屋が連続した建物内での煙進展をシミュレーションしました。

解析事例2: 換気系を考慮した急激火災解析

EVE SAYFAに圧縮性流体が考慮できる 1次元管路系解析プログラム Advance/FrontNet/Γ を組み込み、CFAST等従来の二層ゾーンモデルでは困難だった機械換気下の急激火災のシミュレーションを行いました。

Advance/EVE SAYFA の特長 2

3次元流体解析ソフトウェアとAdvance/EVE SAYFAとの連携解析機能

「吹き抜けの大空間での3次元的な煙の分布が知りたいけれど、周辺の多くの部屋との間の空気の流れも考慮したい」という場合は、3次元火災解析ソフトウェア FDS（NISTで開発） や、3次元流体解析ソフトウェア Advance/FrontFlow/red との連成解析が可能です。この方法では、両ソフトウェアを接続する境界面で計算結果をやり取りすることにより、火災や化学物質の移流拡散という非定常な現象を2つの異なるスケールで同時に解析することができます。

さらに、従来の二層ゾーンモデルでは解析が困難だった、機械換気下の急激燃焼を伴う火災時の連成解析も可能です。

解析事例3: 換気系を持つ施設での急激火災3次元詳細解析

OECD/NEAの火災分野の実験プロジェクトPRISMEを対象にした試験解析を行いました。換気系を持つ施設での火災詳細解析を目的として、EVE SAYFAとFDSの連成解析機能を用いました。

その他の火災解析事例（流体解析ソフトウェア Advance/FrontFlow/red による解析事例）

解析事例4： 国内の大規模な公共施設の火災解析

3次元流体解析を用いて国内の大規模な公共施設の火災現象のシミュレーションを行いました。

解析事例5： 温度センサーで作動する防火シャッター

3次元流体解析を用いて、天井から降りてくる防火シャッターの作動速度が異なる場合の流れ場のシミュレーションを行いました。

Advance/EVE SAYFA について

Advance/EVE SAYFA は、東京大学生産技術研究所革新的シミュレーション研究センターが実施した文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」プロジェクトおよび「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」プロジェクトの成果（ソフトウェア）をアドバンスソフトが商品化したものです。アドバンスソフトはこれらのプロジェクトに参加しソフトウェアの開発を担当しましたが、その成果を独自に改良して商用パッケージソフトウェアとし、販売保守を行っております。

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